5 /5 山口裕一: 令和8年1月末、平日の午前11時ごろ、南禅寺の塔頭・金地院を初めて訪れました。
南禅寺の中門から少し南へ外れた場所にあり、以前から気になっていたお寺です。
一般拝観料は大人500円。
特別拝観(方丈・小書院・茶室「八窓席」など)には別途700円が必要です。
受付で拝観方法の説明を受け、わたしが訪れた時間帯では特別拝観は11時30分から開始(時間をずらして数時間おきに開始時間が設定されているようです)とのことで、それまで庭園を散策することに。
明智門から入り、小堀遠州作の枯山水庭園「鶴亀の庭」を時計回りに散策。
参拝客はまばらで、静寂の中、ゆったりとした時間を過ごせました。
庭園には、鶴島と亀島が向かい合うように配置され、白砂は海、中央の石組は宝船や蓬莱山、郡仙島を象徴しているとのこと。
後述の方丈での説明がなければ気づかない繊細な意匠に感動しました。
続いて訪れた東照宮(重要文化財)は、徳川家康の遺言により寛永5年(1628年)に建立されたもの。
拝殿天井の「鳴龍」は狩野探幽の筆、三十六歌仙の額は土佐光起の筆、和歌は青蓮院宮尊純法親王の御筆跡とのこと。
静かに天井を見上げながら、心ゆくまで堪能しました。
東照宮での鑑賞を終え、ちょうど良いタイミングで方丈へ。
女性のスタッフの方が、丁寧に解説をしてくださり、質問にも快く応じてくださいました。
拝観者が私一人だったため、贅沢な時間となりました。
方丈は、徳川家光が諸侯との対面に使うことを想定して建てられた客殿で、実際には使用されなかったそうです。
小書院では、長谷川等伯筆の襖絵「猿猴捉月図」と「老松」を鑑賞。
「猿猴捉月図」は、水面に映る月を取ろうとする猿を描き、“できないことを求める愚かさ”を戒める禅の教えを表しているとのこと。
東照宮で見た徳川家康の遺訓とあわせて、自らの行いを省みる大切な教訓となりました。
これらの襖絵は複製ではなく本物で、間近で鑑賞できるのは本当に貴重。
筆致の力強さや繊細さを肌で感じることができ、深く印象に残りました。
最後に、小堀遠州作の茶室「八窓席」(重要文化財)を見学。
現在は窓が六つになっていますが、光の取り入れ方や空間の工夫が随所に見られます。
にじり口の前に座ると、身分の高い人でも頭を下げて入らざるを得ないという茶の湯の精神を体感できました。
拝観全体で約60分ほど。
静かな環境で、日本文化の粋をじっくり味わえる貴重な体験でした。
丁寧な解説とともに、美術・建築・庭園・禅の思想が一体となった空間に心が洗われるようでした。